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【コメント】
松本あきらシリーズ
貸本印(立志堂書店-八幡市本町)

昭和33年6月10日発行。松本零士単行本デビュー作となるタイトル。
もともとは昭和31年に｢別世界の冒険｣との題名で制作されていた習作を単行本としたもの。
初期松本はロマンチックな少女物のイメージが強いですがこちらはその中でも｢SF｣を全面に押し出した作品。ロマンと広大な宇宙が交錯する、まさに松本の原点といえる歴史的な一冊といえるでしょう。
また、この一冊の特筆すべき点として、見返しにはサインと作中に登場するヒロイン的キャラクター・ファンタの姿が描き入れられています。
これは元々は中部地方で大学教員をされていた方が研究資料用として貸本上がりで所蔵していた代物で、その所有者が1980年代の後半に松本零士宅を訪れた際に記念として単行本発行当時の日付、名義(｢松本あきら｣)でサイン、イラストを一筆いただいたという品
なおイラスト部分には当初、色は入っておらず、これはこの個体が一度市場に放出された後、新たに所有者となったコレクターの方が2000年代初頭に改めて松本ご本人の元に持参、その際懐かしき一冊との再会に興じられご自身で着色を施されたという経緯がありました。
彩色には透明度の低いアクリル系の染料が使用されていますが、『これにはイラストや原稿制作時に当初エアブラシによる彩色手法を採用する事も多くあった零時社でしたがアトリエ各所に飛散した塗抹の痕跡から健康に関する心配が想起され、しだいにその手法の使用頻度は減少。それ用に確保していたリキテックスが余り気味になり、当時手近に多くあり使いやすかったから』、という逸話も伝わっています。
貴重な最初の単行本にして、松本零士ご本人の手元を数度廻った。正に唯一無二といえる存在です(久保) (Kubo from mandarake)

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